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資料

【遺言】遺言が無い場合

 遺言が無い場合は、民法の相続分の定めに従って遺産を分けることになります。
 遺産を分けるにあたって、遺産の帰属について具体的に決めるためには、相続人全員による遺産分割協議をする必要があります。協議が問題なく終わればよいのですが、現実そう上手くはいかないケースが多いようです。
 ただし、遺言がある場合は、遺言者自らが財産の帰属を決めることで、そうした相続をめぐる争いを防止することができます。

【遺言】遺言の種類と無効な遺言

 「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。
 いずれの場合も法律によって方式が厳格に定められており、その方式に従わない遺言は全て無効となります。
 つまり、被相続人(遺言を遺す方)によるボイスメッセージやビデオメッセージ等も遺言として法律上の効力はなく、無効となります。

【遺言】自筆証書遺言について

 遺言者自らが遺言内容全文、作成日付、遺言者氏名を手書きし、押印して作成する方式です。方式が厳格に定められており、1つでも方式に倣わなければ無効となります。

例えば……

●日付については特定できるよう正確に記載しなければなりません(令和〇年〇月吉日等は無効)。
●遺言書全文は手書きで書かなければなりません。PCで文字を打ったり他者に代筆してもらうことはできません。
●財産目録は自書ではなくPCで文字を打ったり資料を添付する形で作成することが可能ですが、目録全てのページに署名と押印をしなくてはなりません。自書によらない記載が両面にある場合は両面とも署名と押印が必要となります。
●内容の訂正や追加には、その場所が分かるように示した上で変更の旨を書き、これに署名し、かつ変更部分に押印をしなければなりません。これがなされていない場合は変更の効力は生じません。
(以下は、自筆証書遺言書保管制度利用の場合)
●用紙のサイズはA4サイズの模様や彩色の無いものを使用し、かつ余白は上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mmを確保しなければなりません。余白に1文字でも入っている場合は書き直しが必要となります。
●遺言内容は片面のみの記載とし、各ページにはページ番号を記載しなくてはなりません。ページ番号は総ページ数が分かるような形式(1/3等)で記載しなくてはなりません。ページ番号も余白にかかってはいけません。

……等の細かな形式の指定があります。
 また、遺言書を発見した人は家庭裁判所に遺言書を持参して検認するための手続きを執らなくてはならないため、相続人に負担がかかります。
 保管の際にも注意が必要で、相続人等の利害関係者による遺言の破棄や改竄、隠匿等が生じる可能性があります。法務局では自筆証書遺言書保管制度があるため、こちらを使用すると安全な上、家庭裁判所における検認の手続きが不要となります。

【遺言】公正証書遺言について

 遺言者本人が、公証人と証人2名の前で遺言内容を口頭で告げ、公証人がこれを聞いて文書にまとめ、遺言者本人と証人に聞かせて内容に間違いがないことを確認した上で遺言公正証書として作成される方式です。
 証人2名については、未成年者・推定相続人・遺贈を受ける者・推定相続人および遺贈を受ける者の配偶者および直系血族等以外の方であれば遺言者により任意に指定ができます。作成された原本は公証役場に保管されます。
 また、公正証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが不要となります。病気等で口が聞けない方や耳が聞こえない方でも自書筆談や通訳人の通訳又は閲覧によって作成が可能です。

【遺言】秘密証書遺言について

 遺言者本人が遺言内容を記載した書面が入った封書(遺言書に押印した印と同じ印で封印したもの)を公証人と証人2名の前で提出し、手続きの上、遺言者と証人2名と共に署名押印することで作成する方式です。
 秘密証書遺言は自筆証書遺言と違い自書しなくても良く、PCで作成することも第三者に代筆で作成してもらうことも可能です。
 ただし、秘密証書遺言は公証役場では保管されず、法務局の自筆遺言保管制度も利用できなくなるため、保管に際しては注意が必要であり、遺言自体も公証人が内容をその場で確認することができないため法律的に無効となる遺言となっている可能性があります。
 また、遺言書を発見した人は家庭裁判所に届け出て検認手続きをする必要があります。

【相続税】相続税がかからない場合と基礎控除額

 相続した財産の額から、借金や葬式費用を差し引くなどした後の額が、一定の額(基礎控除額)を上回るときに、相続税がかかります。「基礎控除」の額は、3,000万円+(600万円×法定相続人数)で計算します。例えば、法定相続人数が3人の場合、「基礎控除」の額は4,800万円となるので、相続した財産の額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

【相続税】非課税財産

 (1)墓所、仏壇、祭具等。(2)国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産。(3)生命保険金のうち(500万円×法定相続人数)まで。(4)死亡退職金のうち(500万円×法定相続人数)まで。……等があります。

【相続税】実際に納める税金の計算方法

 (1)課税遺産総額を法定相続分で案分し、各相続人の課税遺産額を出します。(2)各相続人の課税遺産額にそれぞれ該当する税率を掛け、それぞれ該当する控除額を引きます。(3)各相続人全ての相続額を足し、相続税の総額を出します。(4)相続税の総額を実際の相続割合で案分します。(5)該当する場合は税額控除を各相続人の相続額から引きます。


法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超〜3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超〜5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超〜1億円以下 30% 700万円
   1億円超〜2億円以下 40% 1,700万円
   2億円超〜3億円以下 45% 2,700万円
  3億円超〜6億円以下 50% 4,200万円
   6億円超〜 55% 7,200万円
(出典:国税庁ホームページより)

配偶者控除
配偶者の法定相続分または1億6000万円のいずれか大きい金額に対応する額
未成年者控除
18歳に達するまでの年数×10万円
障害者控除
85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者の場合は年数×20万円)



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